山の自主トレ

中国地方を中心に山、沢、海で自主トレしながらアウトドアライフを楽しむ記録

北岳バットレス 3days

メンバ―:dai、fumi、かち子、jeni、IS

 

北岳の歩き、北岳バットレスに行こうという話になり、2023年9月の三連休に北岳を狙った。秋雨前線の影響か直前まで天候がコロコロと変わり、どうするか悩んだがテントの予約締切時の天気がボチボチ良かったので、決行の判断とした。

北岳山行の全体記録

(9月15日)

16:00に山口班出発、広島市福山市でメンバーをピックし、甲府駅へ最後のメンバーを拾いに高速道路を走る。途中、関西地域の夜間一斉工事にぶち当たり、東大阪市あたりへの迂回を強いられ1時間のロス。夜間通行止めも調べておく必要があると痛感。

(9月16日)

4:20最後のメンバーISを甲府駅でピックし、芦安を目指す。目の前を走っているのは始発の広河原行のバスっぽく、時間ロスの影響で始発のバスは諦める。

5:40芦安へ到着し準備をしていると交通整理の方が「乗り合いタクシーが6時半に下りてくるよ」と情報をくれた。ちょうどいいタイミングなので乗り合いタクシーを利用することにした。

準備中~、一番重いザックは25kg

6:30芦安発、7:20広河原着。いざ、白根御池小屋へ向けて出発しましょう~。

最初は元気ですね~

大樺沢沿いは通行止めなので、白根御池小屋への直登ルートを登る。初めて歩いたが、これがなかなかの急登で重い荷物が堪える。

急登を終えて10度、20度、30度!

2時間半で小屋まで行けると思っていたがまさかの急登だけで3時間。11:00に白根御池小屋へ到着し、ベースキャンプを作る。

今回のベースキャンプ、テント二張り

テント設営後、歩き組は草すべりを通って北岳肩ノ小屋へ登って行った。登攀組もBガリー取付きを確認しにB沢へ向かう。

バットレス沢(B沢)の登り

B沢の入口のボルダー岩を確認し、沢へ入っていく。登山道と踏み跡の位置も確認し、沢への最短の入り方を頭へ入れておく。

Bガリー大滝の取付き

13:40、Bガリー大滝の取付きに到着する。小屋からの時間は1時間40分、早朝は余裕をみて2時間かかることにして下見を終える。ロープやギヤ類は重いのでデポしてテン場へ帰る。

16:00、軽く飲んで明日の打合せ、念願のカレーを作ってさっさと就寝。あまり距離は歩いていないが、久々に荷物を持って急坂を上ったせいか結構疲れた。あっと言う間に寝落ちる。

(9月17日)

1:20起床、ラーメンを作って食し出発に備える。途中で行動食を取ることが出来ない可能性が高いので、食える時に食っておく。

星が良く見える!晴れてる!

2:25、暗い中テン場を出発。こんなに早く出発した事は無いな~(笑)。星が見えているので予報通り今日の午前中は晴れるだろう。

4:00、Bガリー大滝取り付きに到着。途中、D沢あたりに5人くらいのヘッドランプが見えていたので、我々より早く出ている班はいるのだろう。B沢の下にも後続が2人程度見える。

4:10、Bガリー大滝の登攀開始。暗がりの中をかち子がヘッデン登攀で進んでいく。まだ薄明かりにもなっていないので怖かったらしい。(そりゃそ~だろ)

うりゃ~、ヘッデン登攀

2ピッチ直上し、左側へ詰めていくがCガリーへのトラバース地点の目印のロープが見当たらない。少し薄明るくなってきたので上へ下へと探ってみるが、どうやら結構傾斜がきつくて悪い所を詰めたところが正解らしい。ロープは結局なかったので、そんなのはアテにしないことにしようという話になった。

Cガリーへの樹林帯トラバース(写真がよくわからんが・・・)

5:10、Cガリーをトラバースする。向こう側からもう1パーティやってくるが、少しこっちの方が早い。ヒドゥンスラブの目印の「4」を探していると、別パーティの方が「上に詰めたあたりにあるはず」を教えてくれた。我々を先に行かせてくれて、答えも教えてくれるなんて、なんて優しい方なんだろう!

Cガリーのトラバース、それほど難しくなかった

5:15、ヒドゥンスラブを登る。ロープは出したがあまり難しくなかった。

ヒドゥンスラブ、写真を撮り忘れたので後続パーティを盗撮

5:25、ヒドゥンスラブから踏み跡をトラバースすると第4尾根主稜の取付きに到着。なんと1番のりだ!「よっしゃ~、これで渋滞させることはあっても、巻き込まれることはないね~」ということで少し余裕を持って登攀準備を始める。振り返れば日の出と富士山、幸先がいい。

ご来光、その右には富士山がド~ン

5:36、1ピッチ目、最初のクラックが核心、足ジャムで超えてしまえばあとは問題なし。トップはかち子、ガンバ~。

1ピッチ目の出だしを登るかち子

2ピッチ目は階段状の岩場、樹木や岩でロープが屈曲しないよう注意が必要。

2ピッチ目を登るfumi

3ピッチ目は緩傾斜のクラック、右へ回り込んでスタートしたような気がする。

3ピッチ目を登るfumi

4ピッチ目、フェースからリッジ手前までの短めのピッチ。あまり記憶がないが、支点が取りづらそうで、ピナクルで支点を取っていた気がする。

4ピッチ目を登るかち子

5ピッチ目は三角形の垂壁からリッジへ。このあたりから高度感が出てくる。

5ピッチ目の垂壁

右へ回り込んでいく

5ピッチ目のリッジ、その先にはマッチ箱が

5ピッチ目のリッジの先にはマッチ箱があり、そこで懸垂下降を行う。懸垂ポイントは2ポイント程度あり、上のポイントは残置ロープではなくて綺麗なボルトが打ってあった。

懸垂下降中のfumi

懸垂下降後の6ピッチ目、ここでfumiにトップを交代する。6ピッチ目は右のクラックを登るような記録もあるが、スラブを登って行った。

6ピッチ目のスラブを登るfumi

7ピッチ目は左の草付きのルンゼ状を登るか、右のリッジを登る。右のリッジは1手が悪いが、その先は気持ちよさそう。左側からリッジに取り付くより、正面からリッジに取り付いたほうが良さそう。

7ピッチ目の悪い1手を超えた後、核心部は写真取り忘れ~

リッジの先には枯れ木テラス

7ピッチ目の枯れ木テラスの枯れ木は既に古くなっており、支点には使えない。上にハーケンと残置ロープがあったので、そこで支点を取る。ここからは崩壊している部分が良く見える。

崩壊箇所、広範囲過ぎて写真に納まらず

8ピッチ目は崩壊箇所のトラバース。ハンドトラバース気味に進むが、手も大ガバで足場もしっかりとあるので安心。トラバース中断で岩の切れ目があるので、そこが少し怖い。切れ目の向こうにピナクルで支点を構築してもらえると後続も安心。

8ピッチをトラバースするかち子、バックに八ヶ岳

9ピッチ目はラスボスの城塞ハング。4ピッチ目の垂壁のあたりから良く見える、右側へ右上しているように見えるチムニーがそれである。

4ピッチ目の終了点から見た城塞ハングのある岩塊

9ピッチ目はかち子が「どうしても登りたい」ということでリードを交代。3人登攀でのトップ交代のロープ手順もあらかじめ打ち合わせしておりスムーズに交代できた。

チムニーの下部は難しいと思うが、さすがのかち子は難なくリードしていった(笑)。

城塞ハングの下部

難なく抜けていった

9:20、城塞ハング通過~、今日の第4尾根主稜一番乗り~。

北岳バットレス制覇~

「やった~!」と歓喜し、乾いた喉を潤し装備を片付ける。アプローチシューズに履き替え標高差150m程度を山頂に向かう。

なるほど、ここに出るのか・・・

多少傾斜のある踏み跡を登り、岩塊とハイマツの隙間を抜けると登山道に合流した。

あとは山頂まで行き、記念撮影。時間は10:15。

バットレスからの北岳登頂に成功~

さて、予想以上に早く辿り着いたがこれからどうするか・・・。肩ノ小屋に下りてビールで軽く乾杯という手もあるが、せっかく時間もあるので「八本歯のコルから下ってバットレスの全貌を見ようや」との提案に皆んな賛成、ビールはお預けして八本歯のコルを下る。

八本歯のコルへ、なかなかの急坂

途中途中で止まり、「あれが横断バンドや」「あれがd沢か?」「まだバットレス渋滞しとるやん」「あーガスが出てきた!」との悪い3人がそれぞれの視点でバットレスを堪能した。果たして見えているものが一致しているのやら・・・(笑)。

ガスに包まれるバットレス第4尾根

13:30チンタラ歩いてベースキャンプに到着。歩き班はまだ到着していない。午後になっても晴天は続いおり、おそらく天候が良い方向に転進し八本歯のコル方向から下山しているのだろう。待てないので3人で乾杯~。くぅ~、こんなに浸みるビールは初めてかも!16:30頃歩き班2人も帰ってきて、5人で山行の打ち上げ、皆んな目標を達成できて良かった(^o^)。名残惜しいが20:00就寝。

(9月18日)

男子5:20起床、女子のテントはまだ起きてない。食材があまりに残っているので、「せっかく担いだのにもったいない」ということで、朝食を食べてから下山する。男子で朝食のパスタを準備をする。出来上がる頃に女子を呼んで6:00朝食タイム。あまり早く下りてもバスが無いので急かすことなく準備をする。

5人で記念撮影、さて下山しますよ~

7:20計画通りの時間に下山開始、ゆっくり歩いても10:00広河原到着。食材と飲み物が無くなった分だけ、さすがに下りは楽勝だった。

広河原に到着~、Yeah~!

始発のバスにも乗れたが、乗り合いタクシーの営業魂に乗せられてタクシーに乗ることにした。(結構ヘトヘトで、ザックの積み下ろしがタクシーの方が楽だったので・・・)

芦安の日帰り温泉で汗を流し、甲府の駅で山梨県クラフトビールの「宇宙ビール」を購入、山梨県のグルメ「ほうとう」と言うのを食して、とりあえず山梨県も堪能する。

山梨のグルメほうとう(写真は南瓜ほうとう

13:00過ぎに甲府駅で1人をデポ、広島を経由し山口まで走る。途中、3連休の終日で京都が渋滞していたことと、山陽自動車の播磨JCTあたりで通行止めだったこともあり、山口市に帰宅したのは午前3時頃だったような気がする。

久々のビックウォール山行と初めての一緒に登るメンバーばかりで、なかなかドタバタした山行だったが天気も良く、狙ったものは全てこなせたので、120点満点の山行だった。こんな充実した山行は無いかもしれないが、機会があればまた行きましょう!(次回は早月尾根+チンネ左稜線ですかね・・・)